再び井谷から縁談話が入ってきて

カタリナの玉の輿婚のニュースから、二三週間した頃。雪子に新たな縁談話が舞い込んできました。斡旋は、世話好きな美容院経営者・井谷からでした。

過去の井谷の縁談仲介エピソードはこちら



井谷が丹生夫人と知り合い、蒔岡家のうわさ話となったのが事の発端。丹生夫人は、井谷にこう切り出します。

あの妹さんは
どうなすったか知らん、

まだお極まりに
ならないなら、
好い人が
あるんだけどって


井谷はその話を、幸子に伝えます。その「好い人」のプロフィールはというと…

何でも
その方と云うのは
医学博士で、

前の奥さんが
お亡くなりになり、

十三四になる女の児が
一人おありになるが
外には何も係累がない、


今度も再婚で子どもありの紳士のようです。

お医者さんが
本職だけれども

今は全然
その方はなさらず、


道修(どしょう)町の
或る製薬会社の
重役をしておいでになる、


井谷が聞いてきたのは、そんな感じの情報でした。

4627795_s

条件的に「わるくなさそう」と感じた井谷は、丹生夫人にこう伝えていました。

蒔岡さんも
以前のような
むずかしい注文は
なさらない筈です。


雪子も30代半ばにさしかかり、こんな風に言われ始めてしまっている蒔岡家 (^^;

それでも気にかけてくれる人がいるのはありがたいこと ― 蒔岡家はこの縁談を受けるのでしょうか。

※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです。



このブログの第一話はこちらから

サンマリHPはこちらから