ニューヨークに落ち着いたジョー
ローリーから日増しに気のあるそぶりをされるジョー。
しかし自分とローリーは、結婚に向かないと感じたジョーは、ニューヨークに行くことを決めます。
落ち着く先は、母の友人ミセス・カークの「大きな下宿屋さん」。小説の翻訳では「下宿屋」とされていますが、今で言う「長期滞在用の高級サービスアパートメント」といった感じでしょうか。
カーク夫人の幼い娘たちの家庭教師をしながら、ニューヨークで見聞を広げて小説に活かそうと、ジョーは意気込みます。
「若草物語」が書かれた1868年当時のNYブロードウェイ風景。日本は明治維新の年です。(NY公共図書館蔵)
ジョーの関心をひいた二人の人物
カーク夫人の下宿で、ジョーはさっそく二人の人物に惹かれました。
一人は「お金持ちで教養があり やさしそうなミス・ノートン」というお嬢さん。彼女の部屋に招待されたジョーは、家族への手紙にこう記します。
本や絵を
たくさん持っていて、
いろいろな人も
知っていて、
そのうえ
親しみ深そうな方ですので、
私もお言葉に甘えようかと
思っています。
あまり社交的でないと自覚しているジョー、こんなことも書いています。
私だって
いい人たちとは
お近づきになりたいのです。
いい人たちといっても、
エイミーのとは
少し違いますけれど。
そしてもう一人ジョーが惹かれたのが、ドイツ人の紳士でした。ベア先生という愛称の紳士は、石炭を運ぶお手伝いの女の子に、手を貸していました。
ジョーはその様子に好感をもちます。
いい人じゃありません?
私こんなの大好きです。
お父さまのおっしゃるように、
ちょっとしたことが
人柄をしのばせるものですね。
しかしこのベア先生、食事のマナーは残念な様子。
エイミーが
あそこにい合わせたら、
あの子は
あの先生を永久に
見向きもしなくなった
だろうと思います。
残念なことに、
先生は非常な
健啖家なのです。
あのがつがつ
掻っ込む様子を見たら、
「貴婦人」エイミーは
寒気を催したことでしょう。
しかしジョーは「なんでもおいしそうに食べる人」が好き、と気にしていません。
エイミーを意識しているジョー
ニューヨークの様子を、コンコードの家族に書き送るジョーですが、何かと、妹エイミーを引き合いに出しているところが面白いですね。
お年頃になった姉妹は、社交に関する意識のちがいで、よく言い争いになっていました。
生き方のちがいが出てきた姉妹。(メトロポリタン美術館蔵)
妹エイミーは、家柄や財産や礼儀正しさを持つ人が大好きで世渡り上手。対して姉のジョーは、その人の「心意気」に惹かれます。本音を隠せないジョーは、人間関係も滞りがち。
ジョーとしては、妹の方が要領よく楽しい人生を送れていることに、少々割のあわない思いです。
自分でも持て余しがちな、この気の強さで、しかしジョーはさっそくニューヨークで執筆活動を始めました。はたしてどんな可能性が、広がっているのでしょうか。
※小説の引用は『続若草物語』角川文庫 2008年 吉田勝江氏の訳からです。
日本の四姉妹『細雪』の雪子と妙子も対照的です
「あなたはジョーか?エイミーか?」若草物語ファンの十海ひかり主宰マリッジサロンはこちら↓
ローリーから日増しに気のあるそぶりをされるジョー。
しかし自分とローリーは、結婚に向かないと感じたジョーは、ニューヨークに行くことを決めます。
落ち着く先は、母の友人ミセス・カークの「大きな下宿屋さん」。小説の翻訳では「下宿屋」とされていますが、今で言う「長期滞在用の高級サービスアパートメント」といった感じでしょうか。
カーク夫人の幼い娘たちの家庭教師をしながら、ニューヨークで見聞を広げて小説に活かそうと、ジョーは意気込みます。
「若草物語」が書かれた1868年当時のNYブロードウェイ風景。日本は明治維新の年です。(NY公共図書館蔵)
ジョーの関心をひいた二人の人物
カーク夫人の下宿で、ジョーはさっそく二人の人物に惹かれました。
一人は「お金持ちで教養があり やさしそうなミス・ノートン」というお嬢さん。彼女の部屋に招待されたジョーは、家族への手紙にこう記します。
本や絵を
たくさん持っていて、
いろいろな人も
知っていて、
そのうえ
親しみ深そうな方ですので、
私もお言葉に甘えようかと
思っています。
あまり社交的でないと自覚しているジョー、こんなことも書いています。
私だって
いい人たちとは
お近づきになりたいのです。
いい人たちといっても、
エイミーのとは
少し違いますけれど。
そしてもう一人ジョーが惹かれたのが、ドイツ人の紳士でした。ベア先生という愛称の紳士は、石炭を運ぶお手伝いの女の子に、手を貸していました。
ジョーはその様子に好感をもちます。
いい人じゃありません?
私こんなの大好きです。
お父さまのおっしゃるように、
ちょっとしたことが
人柄をしのばせるものですね。
しかしこのベア先生、食事のマナーは残念な様子。
エイミーが
あそこにい合わせたら、
あの子は
あの先生を永久に
見向きもしなくなった
だろうと思います。
残念なことに、
先生は非常な
健啖家なのです。
あのがつがつ
掻っ込む様子を見たら、
「貴婦人」エイミーは
寒気を催したことでしょう。
しかしジョーは「なんでもおいしそうに食べる人」が好き、と気にしていません。
エイミーを意識しているジョー
ニューヨークの様子を、コンコードの家族に書き送るジョーですが、何かと、妹エイミーを引き合いに出しているところが面白いですね。
お年頃になった姉妹は、社交に関する意識のちがいで、よく言い争いになっていました。
生き方のちがいが出てきた姉妹。(メトロポリタン美術館蔵)
妹エイミーは、家柄や財産や礼儀正しさを持つ人が大好きで世渡り上手。対して姉のジョーは、その人の「心意気」に惹かれます。本音を隠せないジョーは、人間関係も滞りがち。
ジョーとしては、妹の方が要領よく楽しい人生を送れていることに、少々割のあわない思いです。
自分でも持て余しがちな、この気の強さで、しかしジョーはさっそくニューヨークで執筆活動を始めました。はたしてどんな可能性が、広がっているのでしょうか。
※小説の引用は『続若草物語』角川文庫 2008年 吉田勝江氏の訳からです。
日本の四姉妹『細雪』の雪子と妙子も対照的です
「あなたはジョーか?エイミーか?」若草物語ファンの十海ひかり主宰マリッジサロンはこちら↓