貞之助がお相手側に挨拶して
雪子の付き添い役として、急に引っ張り出された貞之助。会場へ向かうタクシー内で、今日のお見合いの事情を井谷に訊ねます。
そして縁談を持ち込んだ丹生夫人と井谷が、さほどの知り合いでないとわかります (^^;
吉兆の座敷に通された三人は、先着していた丹生夫人と橋寺氏に対面しました。貞之助が丹生夫人に挨拶すると、夫人は以前に幸子を訪ねた思い出話を始めます。
あの時は
お友達と三人で
押しかけてって、
臥てらっしゃるのを
無理におこしちゃったりして、
女ギャングだと
お思いになったかも知れないわ。
「女ギャング」は、この頃の流行り言葉だったのでしょうか、この後にもたびたび出てきます。
ようやくお相手が口を開いて
ここで、雪子さんの新たなお相手、橋寺福三郎氏が話を始めます。
「全く女ギャングですよ」と、
さっきから紹介されるのを
待ち構えながら、
茶の背広服の両膝をついて
腰を浮かしていた橋寺が、
チラと夫人に横眼を使って、
微笑を浮かべながら云った。
橋寺氏もまた強引に、丹生夫人に誘われたのでした。
何でもかんでも
附いて来なければ
いけないって云う訳で、
今日はわたくし、
何が何やら無我夢中で
引っ張り出されて
来ましたんで、……
初対面の貞之助への軽いあいさつ代わりだったのでしょう。
しかしこの橋寺氏の言葉に、丹生夫人と井谷が威勢よく反論を始めます。どんどん二人の女性のペースで進行するお見合いですが、この先どうなっていくのでしょうか。
※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです
サンマリHPはこちらから
雪子の付き添い役として、急に引っ張り出された貞之助。会場へ向かうタクシー内で、今日のお見合いの事情を井谷に訊ねます。
そして縁談を持ち込んだ丹生夫人と井谷が、さほどの知り合いでないとわかります (^^;
吉兆の座敷に通された三人は、先着していた丹生夫人と橋寺氏に対面しました。貞之助が丹生夫人に挨拶すると、夫人は以前に幸子を訪ねた思い出話を始めます。
あの時は
お友達と三人で
押しかけてって、
臥てらっしゃるのを
無理におこしちゃったりして、
女ギャングだと
お思いになったかも知れないわ。
「女ギャング」は、この頃の流行り言葉だったのでしょうか、この後にもたびたび出てきます。
ようやくお相手が口を開いて
ここで、雪子さんの新たなお相手、橋寺福三郎氏が話を始めます。
「全く女ギャングですよ」と、
さっきから紹介されるのを
待ち構えながら、
茶の背広服の両膝をついて
腰を浮かしていた橋寺が、
チラと夫人に横眼を使って、
微笑を浮かべながら云った。
橋寺氏もまた強引に、丹生夫人に誘われたのでした。
何でもかんでも
附いて来なければ
いけないって云う訳で、
今日はわたくし、
何が何やら無我夢中で
引っ張り出されて
来ましたんで、……
初対面の貞之助への軽いあいさつ代わりだったのでしょう。
しかしこの橋寺氏の言葉に、丹生夫人と井谷が威勢よく反論を始めます。どんどん二人の女性のペースで進行するお見合いですが、この先どうなっていくのでしょうか。
※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです
サンマリHPはこちらから