なんとなく返事を引き延ばして

今度のお相手の容貌が、老け込んでいるのが気に入らない姉・幸子。

だからこの縁談は最初から断るつもり。でも仲人の顔を立てて、会うだけは会ってみようと思っています。迷惑な話ですが、幸子は仲人にこう返しています。

この御返事は
一二箇月待って戴きたい、


と云うのは、ついこの間
一つ縁談があったのを

破談にしたばかりの
ところなので、


瀬越氏との縁談ですね。

妹の心理状態を考えると、
ここ暫く期間を置いて
次の話を持ち出した方が
よさそうに思う、…

蒔岡家の姉妹は、とにかく悠長。
幸子の夫・貞之助だけがヤキモキしています。

30歳を過ぎて結婚したいなら、やはり焦った方がいい。「ここしばらく期間をおいて」と言っているうちに、あっという間に半年、一年と経ってしまいます。

soraraさん
何もしなくても時間は流れていきます…

先方から催促がきたようです

縁談話を、既読スルーしていた幸子に「去年写真をお送りした人の件はどうなったでしょうか」と仲人役の陣場夫人から、催促の手紙が届いてしまいました。

そして「いくらかでもお心持が動いておられるなら、今からでも遅くはないのです」とのこと。

野村氏も条件的には恵まれていませんから、この間、他に縁談話もなかったようです。

その野村氏自身からは、こんな念押しの言葉が…

ただ一つあれに
書き洩らしたのは、

自分には
財産と云うものは
何もない、

全く俸給に依って
暮しているので、

それはお含みを願いたい
とのことです、


前回の瀬越氏に比べると、財産面でも蒔岡家を満足させる相手ではない感じです (^^;

kakkiko
夫に先立たれた後の財産は期待できません…

一方の野村氏は、テンションを上げている様子。

妹さんの御器量なども
何処かで
お見かけしたらしくて、

待つのは
いくらでも待つから、
是非あの方をと、

浜田氏を通じて
熱心に申し越して
おられるのです。


自分の見た目には無自覚でも、男性は、やはり女性の外見には惹かれるようで…返事をぐずぐずと引き延ばしている幸子ですが、この縁談は果して成立するのでしょうか。

※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。



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野村氏の前の縁談相手・瀬越氏の話はこちらから

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