お見合いの翌々日にやってきた陣場夫人は…

陣場夫妻という仲介役を通して、
気の進まない(というか初めから断るつもりの)お見合いを済ませた蒔岡家。

美人で若見えする雪子を見て、お相手の野村氏はすっかりテンションをあげたようです。

雪子の姉・幸子のもとを訪ねた陣場夫人は、こんな話をしていきます。

大体野村さんの生活程度は
家をご覧になったので
御想像がつくであろうが、


財産面では蒔岡家のお眼鏡にかなわない、質素な借家暮らしです。

でも現在は独身だから
ああ云う所に
おられるので、

奥さんを迎えたら
もっと家らしい家に
移ると云っておられる。


新居も構える心づもりですね。

殊に雪子さんが
来て下さるなら、

自分は献身的の愛を
捧げるつもりである、


46歳(時間が経っていますから47歳?)の野村氏、情熱的ですね。

自分は
豊かではないが、

雪子さんに
不自由な思いを
させないぐらい
なことは出来る、
と云っておられる、


結婚できるなら、と頑張りを見せています。

soraraさん
有閑マダムの暮らしができるかな…

関西電車の社長も、従弟の結婚に尽力?

かつて夫が、浜田丈吉氏(関西電車社長)の世話になったという陣場夫人。野村氏は、この浜田社長の従弟にあたります。

それもあって、なんとかこの縁談をまとめたい陣場夫人。お見合い後には、自ら社長のもとに足を運んで話をする熱心さ。

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浜田社長も従弟の縁談に乗り気になったようで、こう言います。

当人に財産がないのが、
来て下さる人に
お気の毒なので、
何とか考えてみるが、

その点はまあ自分に
任してもらいたい、


財政的なフォローの申し出です。

自分として、
今具体的にどうする
と云う保証をしろと
云われても困るが、

自分がいる以上
決して生活の苦労は
させないから、
と云っておられた、

大企業の社長も乗り出して、どんどん外堀を埋められている感じの雪子さん。

心配なお相手の財産面では、有力な後ろ盾も得られそうで、本人ももう、このあたりで嫁ぐつもりでいるのでしょうか。

※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。



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