お見合いのお返事はしないまま?

順延続きの後、ようやく実現した雪子と野村氏のお見合い。

しかし蒔岡家の姉妹たち、最初から「お断り」のつもりで臨んだうえに、その後何日も経つのに、いまだお返事をしていないようです。

何をしているかというと…

幸子はこの内気な妹が、
見かけに依らず
出好きなことを
知っているので、

自分が出歩ける
ようになったら、


姉の幸子は、体調を崩したまま元にもどっていません。

映画やお茶の
附合いぐらいは

毎日でもしてやるのだがと
思っていたのであるが、


こうやって甘いので、気ままな実家暮らしが続いてしまうのではと思いますが…

雪子はそれを
待ち切れないで、

この間から
天気の好い日には
妙子を誘って
神戸へ出かけて行き、

何と云うことなしに
元町あたりをぶらついて
帰って来ないと、
気が済まないらしかった。


姉と遊べないなら、近所に暮らす妹と遊ぶ雪子さんです。

Finegraphics

そして、いつでも、
松濤アパートの妙子を
電話へ呼び出して、
落ち合う先を
打合せてから、

いそいそと
出かけて行くのが
さも楽しそうで、


人生楽しいのはいいことですが…

縁談のことなど
全く念頭に
ないようであった。


もう結婚する気がないのなら、せめてお相手にお返事だけでもと思います。

野村氏の方は、どんな気持ちで待たされているのでしょうか。

※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。


もうひとつのサンマリブログはこちらから

サンマリHPはこちらから