話は弾むものの…

医学博士・橋寺氏と雪子の縁談。この話を進めたい義兄・貞之助はある朝、約束もなしに相手の家に押しかけてしまいます。突然の訪問にも丁寧に対応する橋寺氏でした。

障子越しに射し込む
日光を浴びながら、


居心地の良い客間な上に、

主人の例の人を外らさぬ
応対の相手をしていると、


社交上手で如才ない、この家の主人です。

つい立ちそびれて
一時間ばかり
しゃべり込んでしまった。


こうしてみると、貞之助自身が実は、かなり橋寺氏の魅力にはまり込んでいる様子です(^^; 

橋寺氏自宅にて

具体的な結婚の話にはならないまま

愛想のよい橋寺氏ですが、しかしここまできて、まだ本心を見せません。

貞之助が、義妹・雪子を勧める手紙を送ったことに対しては、

先日は失礼な手紙を
差上げましてと、
貞之助がちょっと
挨拶したのに対して、


いえ、
御丁寧な御書面を
戴きまして
有難うございます
と、
橋寺もさりげなく
答えたきり、


あとは取りとめのない
世間話をしたに過ぎない。

橋寺氏としては(貞之助の気もちが確認でき)ここからは雪子さんと直接二人で会って、という心づもりでいるのでしょうか。

帰りかける貞之助に橋寺氏はこう提案します。

まあ、お待ち下さい、
今日はこれから娘を連れて
朝日会館へ映画を
見に行きますので、

御用がおありにならないなら
そこまでご一緒に参りましょう、


貞之助としては、義妹の再婚相手になるかもしれない橋寺氏のひとり娘は実際に会いたいところ。この申し出をありがたく受けるようです。

※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです。



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