婚活するヒロインたち 結婚に役立つ名作案内 「若草物語」「細雪」

名作文学のヒロインたちから現代に役立つ結婚の知恵を学びます。―いろいろあるけれど、最後には笑おう ― 次はあなたがヒロインです。

カテゴリ:次女ジョー > 結婚準備と将来設計

ジョーの結婚相手のネタバレあります。

サプライズプレゼントは伯母さんから


雨に濡れながら、とうとうプロポーズを受け入れたジョー。お相手は年上で貧しいドイツ人の先生、そしてこれからしばらくは遠距離恋愛です。

それでもジョーは、お互いが自分の役目を果たしながら、幸せに過ごしていきましょう、と力強く宣言します。こうして婚約者のベア先生は、遠い西部に旅立っていきました。

一年の間、
ジョーと先生とは
働き、待ち、
希望をもち、
そして愛した。

たびたび
会いもしたし、
膨大な手紙を
書きもした。


こんな二人を幼なじみのローリーは、昔からの茶目っ気でからかいます。

そのために
紙の値段が高くなった、
などと言ったのは
ローリーである。

ラブレター
今で言うならたくさんのラインのやりとり?(ニューヨーク公共図書館蔵)


しかし状況が好転しないまま、交際二年目を迎えたとき、あることが起こります。

裕福なマーチ伯母さんが亡くなり、姪のジョーにお屋敷を遺してくれたのです!かつてエイミーに資金援助をした伯母さんですが、ジョーのことも忘れていなかったのですね。

幼なじみのローリーは喜んで「屋敷を売れば莫大なお金になる」と言います。しかしジョーは家を売るつもりはありません。

長年の夢をかなえようと動き出すジョー

ジョーは屋敷をどうするか語り始めます。

私、男の子たちのために
学校をつくりたいと
思っているの。

りっぱな、楽しい、
家庭的な学校よ。

私がその子たちの
世話をして、
フリッツ

教えるの。

フリッツとは夫のベア先生のこと。家族はみな驚きますが、すぐに賛成をします。

ジョーのプランは実は昔から、あたためていたことでした。

私にもし
お金ができたら、

そして家にいなくても
いいような時がきたら、

家族の面倒を見なくてもよくなったら、と思っていたのですね

大きな家を借りて、
貧乏な母親のいない
寂しい子供たちを集めて、
世話をしてやり、

手おくれに
ならないうちに
楽しい生活を
させてやりたい
ものだって。


心に秘めていた夢は、たくさんの人とのご縁で、不思議に現実味を帯び始めていました。

ジョーはこう続けます。

適当な時期に
めんどうを見て
もらえないために、

堕落する子が
たくさんいるんです。

(中略)
ああ、私ほんとうに、
あのひとたちの母親に
なってやりたいのです。

コンコードのホーソンの家
コンコードにあるホーソンの家。マーチ伯母さんの豪邸もこんな感じ?(ニューヨーク公共図書館蔵)

幸せな結婚から始まる正の連鎖

先に結婚したエイミーがそうだったように、満たされた想いのある結婚は「私たちに何ができる?」と、自分たちの周囲幸せを広げようとしていきます。

個性が強かったジョーは、人間関係で誤解を受けたぶん、理解されないで孤立する子どもたちのことが気になっていたのでしょう。

ジョーはベア先生という、すばらしい理解者と巡り合うことで気持ちが安定し、社会貢献ができるようになりました。

それに、どうにも女の子らしさが苦手だったジョーにとって、学校を開いて男の子と生活できることは、個人的にも嬉しいばかりです。

ジョーも(エイミー同様)投げ出さないで毎日を丁寧に暮らし、たくさんの人とのご縁をつなぐうち、公私ともに幸せな生活を手に入れたのです。

その夜、
家族会議やら
希望やら計画やら、
いろいろと楽しい
夕べを過ごしたあとで、

自分の部屋に退いたとき、
彼女の心はしあわせで
あふれるばかりだった。

まだ婚約中のジョーですが、新しい世界が目の前に開き始めていました。

※小説の引用は『続若草物語』角川文庫 2008年 吉田勝江氏の訳からです。



サンマリHPから


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ジョーの結婚相手のネタバレあります。

ジョーの新婚家庭はプラムフィールドのお屋敷

遠距離恋愛が続いていて、経済的にも結婚の見通しがたたなかったジョー。

しかしマーチ伯母さんが亡くなって、ジョーに大きな彼女のお屋敷を遺してくれたことで、事態が好転し始めます。ジョーは結婚したら夫であるベア先生と一緒に、そこで学校を開くことにしました。

それは「作家になる」という公言とは別に、彼女が長年心に秘めていた夢でした。
 
こうしてジョーは結婚しました。

要するに、それは全く
予想外な一年だった。

いろんなことが
つぎからつぎへと
思いもかけぬ速さで、

しかも快適に
起こってくるのであった。


運命の相手は「この人しかいない!」という感じでとても単純に決まりますが、そこから結婚までの変化は「思いかけぬ」ほど複雑でめまぐるしいものがあります。

それはもちろん、一人用のライフスタイルから二人用のそれへと、新しい世界を創造していくからですが、息がぴったりあったパートナーとの共同作業は、その過程も「快適」で楽しいものです。

まさに良い結婚の醍醐味ですね。

ジョーは自分でも知らぬまに、
と言いたいくらい、
いつのまにか結婚し、
李の園
(プラムフィールド)
落ち着いてしまった。

1860年代のウェディング


『若草物語』が執筆された1860年代当時のウェディングの様子。(ニューヨーク公共図書館蔵)


ジョーの結婚式はどんなふう?

『若草物語』から『続若草物語』へと、ジョーに共感しながら、一緒に物語の旅をしてきた読者は、ジョーの結婚式の描写がないことに、ちょっと物足りなさを感じたかもしれません。

しかし作者オルコットは、とても美しい結婚式のシーンは、〈長女メグ〉のために描きました。

三女ベスの死の直後の〈末っ子エイミー〉の結婚式は、死者に敬意を表して、パリの領事館でとても静かに行われています。その代わり、エイミーには華やかな交際のシーンを、作者は用意していました。

そして〈次女ジョー〉には、とても劇的なプロポーズのシーンです。

作者の周到な用意は、結婚する姉妹それぞれによって、結婚に至るだいじな節目の出来事を描き分けているのです。

また、『若草物語』の愛読者には、ジョーやエイミーの結婚式は「こんな風だったのでは?」と想像を膨らませたり、話し合ったりする楽しみをもらえますね。

ジョーはやがて、ベア学園という学校経営をしながら、テディとロブという二人の息子を持つことになるのでした。

※小説の引用は『続若草物語』角川文庫 2008年 吉田勝江氏の訳からです。


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