婚活するヒロインたち 結婚に役立つ名作案内 「若草物語」「細雪」

名作文学のヒロインたちから現代に役立つ結婚の知恵を学びます。―いろいろあるけれど、最後には笑おう ― 次はあなたがヒロインです。

タグ:仏壇

縁談を断る実の理由は…

お見合い相手にお返事もせず、妹と出歩いていた雪子。そして、ばったりと、そのお相手の野村氏に出会ってしまいます。

妹の妙子は、その時の印象をこう語ります。

妙子も
野村と云う人を
初めてみて、

話に聞いたよりも
まだ老けているのに
びっくりし、


見た目でどこまでも、損をしている46歳の野村氏です。

なるほど
このお爺さんでは
雪姉ちゃんが
厭だと云うのも
当り前だと
感じたくらいで、


20代の妙子は、年上男性により手厳しい表現です (^^;

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しかし姉が、お相手を嫌がる理由はまた別にありました。

雪姉ちゃんの嫌う理由は
そこにあるに違いない
と思うけれども、

雪姉ちゃんは
風采や顔つきのことなどは
別に何とも云っていないで、
それよりは、


返事を渋る理由は、見た目ではなかったようです。

雪子さんが言うには…

見合いの晩に青谷の家へ
引っ張って行かれた時、

仏壇に亡くなった奥さんや
子供達の写真が
飾ってあるのを見て、

ひどく不愉快にさせられた
と云う話をした。


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初婚の女性がお見合い当日に、仏壇に飾られた先妻の写真を見せられる…確かにいろいろと、思うところが出てきそうです。

ましてや、いつまでも少女のような雪子さん、なおさら心に響いてしまったのは、わかるのですが…

※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。



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帰りのタクシーの中での会話

お見合い帰りに、野村氏の家に立ち寄った一行。

雪子と結婚できると思い込んでいる野村氏は、ハイテンションで自宅を見せています。しまいには、亡くなった妻子の位牌がある仏壇まで案内した様子。

その後、ようやく帰路についた蒔岡家一行と仲介役の陣場夫妻。帰りのタクシーで、こんな話となっています。

タクシー

「今夜は野村さん、えらいご機嫌やったやないか」
と走り出してから陣場が云った。

夫に対し、陣場夫人はこう相槌します。

ほんに、
野村さんがあないに
しゃべらはるのん、
今まで見たこと
あれへんなんだ。

やっぱり
若い綺麗な人が
傍にいたはった
せえやねんな

そして雪子に言います。

なあ、幸子さん、
野村さんの気持は
もう聞かんかて
分ってるさかいに、
あんた等の考一つやわ。

財産のないのんが
欠点には違いないけど、


蒔岡家が気にする条件についてフォローします。

そんでも浜田さんが
附いてはるよってに、

どんなことがあったかて
生活に困るようなことは
させはれへん、

陣場夫人の言う「浜田さん」とは、野村氏の従兄の浜田丈吉という人物。関西電車の社長という、野村氏自慢の親戚です。

何ならその点を、
もっとはっきり
浜田さんに
保障して貰おやないの


陣場氏はかつて、この浜田家の玄関番をしつつ通学させてもらった恩義がありました。それもあって、この縁談をまとめることに躍起になっています。

それなのに、初めから「お断り」姿勢の蒔岡家。

あまり返事を長引かせない方が良いと思うのですが…

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※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。




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野村氏の家の様子はというと

雪子に付き添って、気の進まないお見合いを済ませた姉夫婦。これで帰れると思いきや、お相手の野村氏から「自宅でコーヒーでも」と強く誘われます。

断り切れずに立ち寄ったのですが…

野村は非常な燥ぎ方で、
子供のように喜んでしまって、


美人の雪子と結婚できると思い込んでいる野村氏。
次々と部屋を案内します。

それが平屋建ての、
六間ばかりしかない
粗末な借家なのであったが、

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雪子が現在暮らしている、姉夫婦の家(暖炉まである芦屋の豪邸)とは雲泥の差

嫁ぎ先の環境の劣化は否めません。
野村氏は頓着しないようで、ついには…

…仏壇のある
六畳の茶の間へ
引っ張って行って、

先妻と二人の子供の写真が
飾ってある光景までも
見せたりした。


これって女心には、どうなんでしょうか (^^;

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野村氏自慢の眺望も…

自宅からの眺めの良さを自慢している野村氏ですが

でも
その座敷と云うのが、
高い石崖の縁
すれすれに建っていて、

縁側にいると
体が崖の外へ
食み出しそうな、

落ちつきの悪い
気がするので、


義兄の貞之助はこんな感想を抱きます。

貞之助などは、
自分であったら

こう云う家には
とても不安で
住んでいられそう
もなく思えた。


今回の縁談の不安定さを象徴するような家の造り。

ここでも、好感度アップしない野村氏でした。

※小説の引用は『細雪(上)』新潮文庫からです。




野村氏との縁談第一話はこちらから

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