満州への同行を渋る妙子
蒔岡家四女で末っ子の妙子は、過去に啓坊とは「駆け落ち事件」まで起こした仲。
現在の妙子は関係の清算をしたくて、啓坊に「皇帝のお附きで満州に行くこと」を熱心に勧めています。それを聞いた姉の雪子は「一緒に行ってあげたら」と提案しました。
妙子はいやな顔をします。
うち、今が
啓ちゃんと別れる
好え機会や思うねん
ああしてられたら、
いつになっても
今迄の関係
清算する云う訳に
行かんさかいに、
一人で満州へ
行ってくれるのんが
一番ええねん。
そういう妹に対して、雪子はこうなだめました。
あたし等何も、
無理にこいさんを
啓坊と結婚さそう
云うのやあれへんで。
昔の仲のアフターフォローで、ともかくも一緒にいってあげたら、という姉のアドバイスでした。
それに対して妙子は…
満州くんだりまで
附いて行ったりしたら、
なおのこと、
別れられへん
ようになるわ
気ままな独身生活を謳歌している妙子には、どこまでも気の進まない話 (^^;
対して雪子もなかなか引き下がりません。
そやけど、
よう因果を含めて見て、
それでも分って
くれはれへなんだら、
その時逃げて
帰って来たかて
ええやないの
意見が平行線のままの姉妹
「外国まで行って嫌なら逃げ帰れば」とは、裕福な姉妹ならではの大胆な意見。これに対して、妙子はこう言い返します。
そんなことしたら、
勤めも何も放っといて
跡追うて来るに
極まったある
啓坊もまた苦労知らずのお坊ちゃまです。
雪子は続けてこう妹を説得します。
そらまあ
そうかも知れんけど、
今迄の義理考えたら、
別れるなら別れるで、
ちゃんと
尽すだけのことは
尽さんといかんやろ、
姉たちは、妙子がいまだ啓坊と、ずるずると付き合っていることを知っています。
しかし妙子はというと…
うち、何も啓ちゃんに
そないせんならん
義理あれへん
本当に「そんな義理」はないのかどうか、ここから雪子の反論が始まります。
※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです。
蒔岡家四女で末っ子の妙子は、過去に啓坊とは「駆け落ち事件」まで起こした仲。
現在の妙子は関係の清算をしたくて、啓坊に「皇帝のお附きで満州に行くこと」を熱心に勧めています。それを聞いた姉の雪子は「一緒に行ってあげたら」と提案しました。
妙子はいやな顔をします。
うち、今が
啓ちゃんと別れる
好え機会や思うねん
ああしてられたら、
いつになっても
今迄の関係
清算する云う訳に
行かんさかいに、
一人で満州へ
行ってくれるのんが
一番ええねん。
そういう妹に対して、雪子はこうなだめました。
あたし等何も、
無理にこいさんを
啓坊と結婚さそう
云うのやあれへんで。
昔の仲のアフターフォローで、ともかくも一緒にいってあげたら、という姉のアドバイスでした。
それに対して妙子は…
満州くんだりまで
附いて行ったりしたら、
なおのこと、
別れられへん
ようになるわ
気ままな独身生活を謳歌している妙子には、どこまでも気の進まない話 (^^;
対して雪子もなかなか引き下がりません。
そやけど、
よう因果を含めて見て、
それでも分って
くれはれへなんだら、
その時逃げて
帰って来たかて
ええやないの
意見が平行線のままの姉妹
「外国まで行って嫌なら逃げ帰れば」とは、裕福な姉妹ならではの大胆な意見。これに対して、妙子はこう言い返します。
そんなことしたら、
勤めも何も放っといて
跡追うて来るに
極まったある
啓坊もまた苦労知らずのお坊ちゃまです。
雪子は続けてこう妹を説得します。
そらまあ
そうかも知れんけど、
今迄の義理考えたら、
別れるなら別れるで、
ちゃんと
尽すだけのことは
尽さんといかんやろ、
姉たちは、妙子がいまだ啓坊と、ずるずると付き合っていることを知っています。
しかし妙子はというと…
うち、何も啓ちゃんに
そないせんならん
義理あれへん
本当に「そんな義理」はないのかどうか、ここから雪子の反論が始まります。
※小説の引用は『細雪(下)』新潮文庫からです。